PEAVEY EVH Wolfgangの1996年製と1st Yearについて考えてみる
今回はタイトル通り、1996年に製造されたPEAVEY EVH Wolfgang、1st Yaerという個体について書いてみようと思います
私が所有するPEAVEY EVH Wolfgang Translucent Redは1997年製ですので、製作開始をした年を初年度とした場合は2年目に当たりますが、製作開始から1年以内を1st Yearと言うそうなのでその場合では1年目です(ややこし…)
以上、終わり
まぁそうなんですけど、それだけではないんです
1996年製と1st Yearを含めて「初年度」という事について深掘りしてみたいと思います
このモデルについて過去に書いた記事では、憶測だけで深掘りもせずに書いてしまったので色々と間違った事を書いていたなぁ…と反省してます
この記事を書いている現在で確認できる個体を元に私なりにまとめてみます
ギターに関して書く際は、タイトルのギターが登場したり新しく入手したりでそのギターを交えて書くんですが、今回は1996年製を入手した訳ではなく今の所有機だけ、只々、調査結果的な事とそこから推測できる事を交えて書いてみます
今回は写真はほとんどなく文章中心なので最後まで読んでいただければ幸いです
まず最初にシリアルナンバーについてふれておきます
PEAVEY製EVH Wolfgangは8桁のシリアルナンバーがヘッド裏に打刻してあります
「91XXXXXX」と最初の2桁は91で統一されており、Xで示した6桁が通し番号になってます(Custom Shop製の一部、Korea製は除く)
WEB上を検索して、シリアルナンバーとチェックリストの日付の両方を確認できる物を調べました
検索開始直後に双方が確認できる物が数本見つかりました
1番若いシリアルナンバーで「91000025」という個体、チェックリストの日付が『8/7/96』となっているアイボリー
25本目という事はチェックリストの日付から逆算して、1996年7月末頃から製作がスタートしたとまずは推測してみました
100本目までの下2桁の個体は、その当時PEAVEY社で働いていたスタッフへのプレゼントやったか購入した可能性が高いらしいという内容の記事を読んだ事があります(真相は如何に?)
続いて「91000643」という個体のチェックリストには『9/23/96』と書かれたサンバースト
約1ヶ月半の間に600本を超える本数を製作している事を考えるとPEAVEY社側の気迫を感じます
1996年のU.S.のカレンダーで、土日祝が休みだったとして平日だけ作業したとして数えたら32日
シリアルナンバーの差が618なんで、単純計算で1日20本くらいのペースで製作したという事になります
そうなると製作体制が整うまでの準備があったとしても、「91000025」は2日目、又は3日目に製作された個体と考えた場合、1996年8月5日か6日が製作開始初日になりますね
カラーについてはロット毎に百数十本単位で切り替わり、最初のロットのカラーはアイボリーで間違いないでしょう(過去に100番台のアイボリーを確認しました)
その後ブラックになり、しばらくはそれとアイボリーのベタ塗りの個体が続いたといわれています
Rock’n Roll Weekendというサイトに1st Year Quiltをまとめたページがあります
そちらではトランスカラーのパープルが500番代後半からしか掲載がないので、もしかしたら500数十本はアイボリーとブラック(ブラックの割合の方が多い)しかなかったのではないでしょうか?
「91000246」と「91000258」、「91000283」、「91000312」、「91000315」という限られたシリアルナンバーの個体ですがブラックの物を確認しましたので、黒が中心に製作されたのは間違いないと思います
アイボリーでスタートした後、ブラックが中心になったのは「HumansBeing」のプロモVがあったのも1つの要因ではないでしょうか?
リリース日が製作開始より3ヶ月も前なので可能性は否定できませんし要因の一部ではとにらんでます
Music Manでのメイプルトップのシグネチュアモデルを使用したけど、やっぱオールバスウッドの個体がEdにとっては好みのサウンドではなかったんではないでしょうか?
実際に初期アイボリーを持ってましたが、メイプルトップよりは角が立たない穏やかなトーンでしたから
日本国内で最初の頃に販売された個体の多く(ほぼ9割)はブラックでした
当時のショップの広告の多くに、ブラックが中心に掲載されました(例外のショップも有り)
実際にその当時のショップ店員さん達もアイボリーの入荷情報、実際の入荷はほぼ皆無と言ってました
アイボリーに関してはクリームカラーのバインディングを黒に塗りかえた物を使用したという記事を読んだ事があるので、生産的には2度でま作業を省いたと考えて黒中心になったんではないでしょうか?
ベタ塗りの時はかなりのハイペースで製作が進みましたが、トランスカラー期に入るとペースダウンします
私のレッドは「91000815」でチェックリストの日付は『3/21/97』です
「9100636」という個体のチェックリストの日付が『9/18/96』というパープルと比較してみます
又もU.S.の1996年と1997年のカレンダーから平日(年末年始の休暇日を憶測でのぞいた日数)を数え、1997年の3月21日までの平日を数えると約121日、シリアルナンバーの差は179です
日数とシリアルナンバーから計算すると1日に1〜2本くらいにかなりペースダウンしてます
前述のサンバーストとパープルを比較してみて推測すると、シリアル差7で5日違いなのであながち間違いではないように思えます
トランスカラー製作開始の時期の憶測日から数えて、1996年の平日に作業した日数が68日くらい
製作作業ペースから単純計算的に算出すると110本くらい製作できたと考えられ、91000740番台あたりが1996年以内に製作されたと考えられます
先ほどのRock’n Roll Weekendで確認するとサンバーストカラーのロットが終わって1996年を終えたのではないでしょうか?
●2021年5月11日追記
B’zのTAK氏が所有する同モデルはパープルをゴールドに塗り替え(Refinish)をしてるのは周知の事実ですし、私が過去に買った雑誌を集め持ってるページにも記載はあります
1997年のドームツアーで使用した事を考えると入手は1996年中ですね
塗り替えや加工もあればツアーの段取りもあるので1996年中に入手してるので合点がいきます
以下、元記事
トランスカラーの製作からペースダウンした事の推測をしてみます
違う木材を組み合わせる際は慎重に作業をせざるを得ないんですよね
材の違いによって接着部分のズレが生じたり、すぐに生じなかった場合でも完成後に何かしらトラブルが発生する事はあります
何より接着したという事は接着部分が固定されるまでに数日はかかりますので
その事を踏まえて考えると、実験的な事を含めて製作する事に慎重になったり、又は失敗したボディがあったのかも知れません
個人的にはそれで合点がいくんですが、推測でご意見をいただければ嬉しいです
PEAVEY社の生産体制としては決してレベルが高い訳ではなく、Wolfgang生産以前には高級モデル的な物の存在はほぼ皆無だったと記憶しています
Steve Cropperモデルで、本人が使用した個体で豪華なキルト杢が使われたのも時期的にはWolfgangの製作経験があってではないでしょうか?
トランスカラーの合間にベタ塗りのアイボリーとブラック、ゴールドトップのロットもありました
過去に所有したアイボリーの物でシリアルナンバーを正確に覚えてないんですが「910011XX」でした(11のゾロ目は覚えてます)
Rock’n Roll Weekendでは1100番台と1200番台前半〜後半にかけてトランスカラーが存在していないのでベタ塗り時期だったのではないでしょうか?
キルトトップの個体の多くは杢目の弱い物が多いのはPEAVEY EVH Wolfgangファンの間では周知の事実です
私のレッドも角度と光量によっては杢目が浮かび上がりますが、色が濃いのでツルツルに見える事もあります
トランスカラーの製作に取りかかるまでの間にキルト杢の確保をしていたんでわ?と思えます
Rock’n Roll Weekendでロット毎にカラーが変わりますが、キルト杢が似た杢材が使用しているようにも見えます
ゴールドトップはメイプルトップ/バスウッドバックなのでツルツル系のメイプル材を使用した可能性も考えられます
PEAVEY EVH Wolfgangはボディバックがメイプルトップ、オールバスウッド共に3ピースで構成してありますが、ベタ塗りの中にもボディトップが2ピースだった場合、キルトメイプルトップの物を使用した2色が存在するという記事も読んだ事があります
塗装を剥ぐとしたら1種の賭けですね…
1st Yearと言われる物が製作開始日から1年だったとした場合、3300番台までが初年度にあたるかと思います
「91003404」で「8/20/97」というオールバスウッドのベタ塗りの個体を確認しました
ベタ塗りの生産本数を考えると3300番台のどこかで2年目に突入したと推測されます
※2021年06月14日追記
「91003104」で「7/25/97」の個体を確認しました
この事から3100番台で2年目に突入したと推測できます
「91002393」というゴールドトップの個体はEdに渡された個体らしく、届けられたのが1997年9月だったという事が書かれたページを確認しました
この事から最初は2300番台か2400番台が1st Yearと思ったんですが違ったようです
1000番以上離れた個体がEdに渡されたとしたら、スケジュールの関係で渡す事が困難だったのではないでしょうか?
ちなみに金ピカロゴは4000番近くの39XX番まで確認できてますので、もしかしたらキリの良い4000番までが金ピカロゴの可能性があります(※2021年04月21日追記:400X番の金ピカロゴを確認しました)
Pat.Pend.焼印があったり金ピカロゴだから初年度、1st Yaerというのは違いますね(Pat.Pend.のない個体が500番台までに存在してます)
因みに、4000番以降になると「PAT.PEND.」(特許出願中の意)から、「PATENT 388 117」の焼印が入れられ、ヘッドトップ面のEVHロゴの下にTMが追加されます
2021年06月14日追記/訂正
95XX番で「PAT.PEND.」の個体を確認しました
色々調べてみましたが、この記事を書く際に検索して見つかった物ではこんな内容になりました
何かの参考にしていただければです
個人的にな意見ですが、やっぱこのモデルではプロト時代に赤がメインやったんで、サンバーストではなくそのままメインにして欲しかった気持ちもあります
nagase
2件のコメント
スタミナ定食
いつも興味深く拝見させていただいております。
私もWolfgangが好きで何本か持っております。
この記事も一本目のウルフを買う際、すごく参考にさせていただきました。
今回ゴールドトップをトランスブラックに塗り替えた個体を入手しました!
見たところごくうっすらとキルトが出ていたので、ゴールドトップに関してはトップには使えない弱目のキルトメイプルがあてがわれているのではないか?というのが私の推測です。
もしご興味があればですが、到着後写真をお送りすることもできますのでその際はお申し付けください!
nagase66
スタミナ定食様
コメントいただきありがとうございます
冒頭にも書きましたが、シリアルナンバーとチェックリストの日付の両方を確認できる物を調べた上での私なりの考察ですが、お役に立てたのなら幸いです
入手されたリフィニッシュの個体ですが、以前にWEBの画像検索で拝見した事がある物かと思います